エレキギターの音はピックアップ交換で変わる。
良くなるかどうかは別としてそれは事実です。好みに合う合わないは搭載してみない事には分かりません。経験値が高い人だとある程度の”予測”は可能だとは思います。そういう人は自分の音の狙いを知っていますから。
私もより良い音を求め、所有ギターの1本にピックアップ交換を何度か実施。
・・・その結果、ある一つの結論に至れました。やはり何事も経験してみない事には”気づき”は得られませんね。
今回は実際試してみたピックアップとそれらの簡単な感想、そして辿り着けた極々当たり前の事(笑)について書いていきたいと思います。
音はありませんので悪しからずm(__)m
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Contents
被検体
G&L Asat Deluxe
日本円で7万円代のトリビュートシリーズ。
ボディはマホガニーバックのメイプルトップ。ネックはメイプルで指板はローズウッド。タップ機能を排除し、テレキャスター形状でありながらその実まったくの別物と化しています。
この2ハムをとっかえひっかえ。狙いも何もなく、ただYouTubeやネットレビューを鵜呑みに「あ~でもないこ~でもない」と試してきました。その使用歴を順番に晒しましょう(笑)。
ピックアップ交換歴
※表記はネック/ブリッジの順。抵抗値は公称値ですが、調べてみるとBurstbuckerは結構誤差がある模様。今回入手し使用した個体の計測などもしておりません。
S.Duncan APH-1n / SH-14
・SH-14・・・Alnico5、14.1k
初めて交換した記念すべきセット。泣く子も黙るリプレイスメントピックアップ界の王者、セイモアダンカン。交換理由は当時中古で入手可能だったのがこの二つだったという(笑)。本当はAlnico2のSH-11が良かったんですが、Alnico5も試したろって事で勢い買い。
ネック側のAPH-1nはオリジナルと比べて高域がよく出てました。サスティーンもありニュアンスも良く出て楽しく弾けます。結構好きなサウンドを得られたピックアップだったと思います。
Sh-14はタイトで低域は控えめに感じましたが、全体のバランスは良くかなり弾きやすくなりました。高めの抵抗値ですがジャンルを選ばず使えそうに思います。ただAsatだと厚みがなく少しぺラいというのが正直なところ。
両者の相性はあんまよろしくないと感じましたが、それぞれ単体で考えると「中々良かった」とは言えます。初ダンカンでしたが流石ですb
EVH Frankenstein ×2
エディ・ヴァン・ヘイレンモデル。本来はブリッジ用なんですが2個買ってネックにも搭載してみたゾ。購入したのはカバードタイプ、クロームバージョン。カバー付きが好きなのだ。ヤングギターの「ピックアップ大全」にて良さげだったのでゲット。
この頃は高出力タイプに興味がいってましたね~。そして何を思ったのか、まず最初にレスポールに搭載。しかしソッコー外しAsat君へ(笑)。かなり暑苦しい、否、むさ苦しい音になっちゃった。
Frankensteinはホットでファットでロックなピックアップ。音も伸びまくるし歪みやすく”まさに”なヤツです。後に購入したアンプ「Peavey6505mh」の音と同じ質感が確かに感じられます。
シグネイチャーモデルと呼ぶに相応しいピックアップです。エディー好きならWolfgangと共にゲット推奨。
ちなみにこちらのピックアップ、位相がマイナスですので他社製との組み合わせはご注意を。
Gibson Burstbucker 1 / 3
・Burstbucker 3・・・Alnico2、8.2~8.8k
57classic好きなので、何となく避けていたBurstbucker。購買欲と中古在庫のタイミングが合ってしまいゲット。それをレスポールではなくAsatに搭載するという暴挙に出てみました。
BB1はウェット感というんでしょうか、それとは対極的な乾いた感触で”枯れ”ともまた違う感じがします。ネックポジションですが割とトレブリーなサウンドも出せました。
BB3は正直私はダメでした。中域に独特の個性があってそれが何とも不自然に感じてしまったんです。レンジも狭く聞こえ、弾いていてもテンション上がりませんでした。
この二つ、やはりレスポールやSG系のギターに載せてその真価を発揮しそうな感じがします。両者とも癖はありますが、BB1は結構好きかな。
ESP LH-200 F/R
・LH-200/R・・・Alnico5、9k
こちらも「ピックアップ大全」で唾つけてたもの。高崎晃氏が使用していたという事でいつか入手したいと考えていました。某フリマサイトから個人間取引にて運よく格安にてゲット。
今回入手したものは80年代の個体で、現在のものとは音が違う可能性もあります。弾いた感じ出力もかなり落ちてる気が。やっぱテスター必要だな。めんどくさがらずちゃんとしなくちゃ!^^
ネック、ブリッジ共にかなりトレブリー。上から下までバランスよく鳴ってはくれますが、低域がタイトというかルーズ。歪みのノリもあまり良くなく、やはりパワーが落ちているのかも知れません。
ということで、今後ちゃんと出力計測する予定。ただいま保管中。
Gibson BB1 / S.Duncan APH-2b
・APH-2b・・・Alnico2、8.9k
スラッシュのシグネイチャーモデル。遂にゲット!ピックアップ交換に飽きてきた頃(笑)、APH-2bが中古で安かったので衝動買い。LH-200を早く交換したかったというのもあります。
Asatピックアップ交換の現在地で最終章。APH-2bの音はどんなものか想像できます。だってスラッシュだもん。動画も数多く上がってますからね。
あれ、ネック側APH-1nじゃないの?と思われるかもしれませんが、既に売却済みなのです(笑)。よって、中々よろしかったBB1さんに再度働いてもらうことにしました。この二つの相性、中々グッド、な気がします。
さて、APH-2b、どんな音になったかというと・・・、下から上まで満遍なく押し出し感があり、元気で派手なサウンドになりました。おおう、イメージしていたものと全くちゃいますやん!
スラッシュモデルから出されたサウンドが、私の全く知らない音でした(笑)。嫌いではないんですけどね。そしてこの出来事が後述する大切なことに気付かせてくれたのであります。
辿り着いた結論
ピックアップを交換する事で確かにギターの音は変化します。意図する方向へ行ったりそうでなかったり。ピックアップ交換はまさに沼の一つでハマってしまうと底なしです。
Asat君も多種多様な音色を頑張って生み出してくれました。ピックアップそれぞれの個性や特色といったものを教えてくれました。お疲れ様、ありがとう!
と、なんだか絞めに向かってる感じですが、
待て待て。
Burstbucker辺りからピックアップの違いだけでなく、Asat自身の出音特性にどことなく気付き始めていました。基本的にハイが強く出るトレブリーなサウンド傾向がある、と。
そして最後に交換したAPH-2bでようやく気付いたんです。
そのギターが持つポテンシャル以上の音は出ない!ということに。
ピックアップはマイクです。ギターをボーカリストと考えてみて下さい。マイクをいくら交換しようが、歌い手自身の声が劇的に変化することなどあり得ません。
分かっていたつもりでその実全然分かってなかった超当たり前の事実(-_-;)。
色々やってみた結果、AsatにはAsatの音がしっかりあるという事に気付けました。そしてどう頑張っても出せない音があることも。当たり前ですが、同じ2ハムでもレスポールにはなれんとです。
Asatに初期搭載されていたオリジナルピックアップは太く甘いサウンドでしたが、このギターの特性をしっかり考えられて取り付けられていたものだという事が今ならよ~く分かります。
今回の実験ではAsatと相性が良かったのはSH-14がベスト。次点がFrankenstein。
SH-14はどんなギターに載せてもそれ程破綻はきたさない気がします。Frankensteinの持つ粘り気であったりダークな音色はAsatとは中々に噛み合ったものだったと感じています。
何はともあれ、やっぱギター自体が大切なんですわ。ある種の”壁”を超えるためにはそれなりにお金が必要だという事も、また一つの真実です。