現在市場にあるキャビネットシミュレーターの有名どころをほぼほぼ試し、Softube Celstion Speaker Shaperを買ったばかりだと言うのに…。
MeldaProduction様。タイミングよいセールに感謝です。
何となく食わず嫌いをし、その存在すら忘れていたMeldaのキャビシミュを今回トライアルしてみました。…それがねぇ、凄く良かった。
サクッと音出しして2分後にはもうポチってた(笑)。利用者は恐らく圧倒的少数。なぜならネット上にほぼ情報がない。音的に有用なものもござ~せん。
という事で、MCabinetはシンプルにどんな音がするのかを今回使用感と共にシェアしたいと思います。
MeldaProductionについて
MeldaProductionは2008年に設立されたオーディオプラグインブランド。本拠地はチェコ共和国のプラハにあります。
取り扱う製品はプラグインエフェクトだけでなく、ドラムやシンセサイザー等の音源もあります。Meldaは“アップデート生涯無料”を謳っており、その姿勢には非常に好感が持てます。
個人的にお布施システムって嫌いなんですよね。色んな分野でそういうのが主流になっていてゲンナリしてます。また、2とか3とかガンガン出されるのも萎える質です。
印象
玄人向け。偏見と事実半々ってとこかな。
Meldaの製品って正直とっつきにくいんですよ。UIが独特でパッと見難解に見える。MCabinetが良かったとは言え、この印象は基本的に今も変わっておりません。
極限までシンプルな製品が好きな私がMeldaを敬遠してきたのは至極当然。ただMCabinetを使ってみてMeldaに対する印象がアップグレードされたのは確実です。
MCabinet
製品的には紛う事なきキャビネットシミュレーターです。外部IRも読み込んで使えます。他社製品の様なリアルで美麗なGUIは持たず、正直見た目はチープです。キャビ名もオリジナル色が強く元ネタはほぼ不明ですな。
だがしかし、だからこそ、己の耳判断を活かすべし。見た目や名前に引っ張られず、自分の思う良い音を雑念無しに構築できるのではないかと思います。
外観
起ち上げたらこんな感じに。左側が検索部分で、上部でカテゴリーを絞り込め、その結果が下部に表示されます。ロードしたキャビは中央にGUIが表示され直感的に音作りを行えます。
右側には開閉可能なツールバーが配置されており、入出力関係やプリセットセレクター等グローバルな機能はここに集約されています。必要なものだけを展開すれば見た目もスッキリできますね。
全体サイズの変更も自由自在。PCのウィンドウと同じでドラッグする事で任意のサイズに出来ます。
特徴
MCabinetの大きな特徴は「簡単モード」と「編集モード」の2つの顔を持つ点。
プラグインを立ち上げた時の画面が簡単モードです。左パネルから好みのキャビを選び音色を調整するだけ。基本的にこのモードだけで充分。欲しい音にすぐ辿り着けます。
編集モードは個人的には難しい。出来れば手を出したくないマニュアル必須のエディットモードです。How to動画が沢山出てますが、フルイングリッシュなんですよねぇ。
私も手持ちのIRくらいは使えるようにしたいのですがムムム…。もし簡単モードが無ければ私がMCabinetを買うことは絶対になかったでしょう。
サウンド
ではサウンドをご紹介。
音源はMP3のショートフレーズになります。今回はSynergy Uberschallモジュールを使用。現在私のお気に入りNo.1モジュール。
アンプシミュレーターも最近いくつか入手してはいるのですが、何だかんだと実機は良いですな。ノイジーなプレイにはご勘弁を。
セットアップ
- Orville by Gibson LPC
- Synergy Uberschall
- Blackstar Amped1
- Motu M2
- Studio One
使用機材と接続順はいつもと同じでご覧の様な感じ。DAW内でキャビシミュを入れ替えただけになります。それだけで音変わるんだからホント面白い。
各プラグインの録音時の設定は画像の通りとなっております。
音比較
Synergy Uberschall
Uberschallの設定はこんな感じです。2chを使用。あまり歪ませ過ぎないようゲインは9時に。2ch(レッドチャンネル)の歪みはやっぱ気持ち良いです。
ちなみにAmped1は出力1Wでパワー管シミュレーションをEL34にセット。音圧係って感じです。低音が盛り気味になるのが玉にキズ。
Bogren MLC S Zero100
まずはBogrenのアンプシミュレーターのキャビ部。これはSynergyと最高に相性が良い。どのモジュールでも間違いないサウンドにしてくれます。
エアー感が少なく超ドライ、前にガッツリ出てくる元気な音です。アグレッシブなサウンドを作るなら右に出る者なし!
元気すぎるのが長所でもあり短所でもあります。
Softube Celestion Speaker Shaper
最近のセールでゲットしたプラグイン。セレッション公認のスピーカーシミュレーター。同社のAmp Roomとの相性が当然ながら抜群です。
独特の空気感があるので、それを調整する必要性はあると感じてます。Bogrenからの流れだと、余計に少し奥まって聞こえるのではないかと思います。
あり得ない様な色んな設定が出来るのは魅力です。
MeldaProduction MCabinet
本日の主役がようやく登場。最初に聴いたものが1番良く感じる、というのはあるあるなので、敢えてこの位置にしています。
個人的には上から下まで各帯域バランスよく表現されていると思います。音の位置もBogren程ではないにしろ近いですよね。
視覚から得られる情報が少なく、細部の設定を理解し辛いのが歯痒いかな。判断は音のみ。
Two notes Genome
Two notesのアンプシミュレーター。そのキャビ部を使用。キャビネットシミュレーション技術においては元々定評があります。
ただ個人的には音作りは難しいと感じます。ロードしてそのまま使える音ではないので、様々なパラメーターを駆使しサウンドを構築していく必要があります。
ただ、明るくも暗くも遠くも近くも様々表現する事が可能ではあります。
率直な感想
音の部分で言うと、正直どの製品も設定次第でどうとでもなります。それ以外の部分で個人的に重要視してるのは操作性ですね。それも、欲しい音に辿り着くまでの時間が短いもの程サイコーです。
実機もそうですがデジタル製品でも組み合わせによって相性が良いもの、そうでないものがあります。上手く使い分ける事でバリエーション豊富なサウンドが生み出せるので、気持ち的には全部使いこなしたい所です。
前に出る音ばかりを並べてもメリハリ無くなりそうですし、逆もまた然り。今後それぞれに出番はあるかと個人的に確認出来きたので良かったです。
終わりに
色々音比較していると、自分の好きなサウンドがだんだん明確化されていく感覚があり凄く楽しいです。どんなツールでも同じゴールを目指せる気がしてます。
芯となるサウンドを持つことによって初めて違う性格のサウンドを“意図的に”生み出せるのではないでしょうか。プレイ下手くそなくせに(笑)エラソーにすみません。
キャビネットはギターサウンドを構成する要素の一つではありますが、その影響度合いは滅茶苦茶デカいです。リアルでもデジタルでもコレは同じでした。
IRを買い漁るような沼状態には陥りたくなかったので、MCabinetは導入して正解でした。キャビシミュはホントのホントにもういいかな。SoftubeのCSSもあるし、Genomeも意外とイイ感じに出来ますし。
アンプシミュの方は、安かったら買っちゃうだろうなぁ~(笑)。やっぱ機材って探してる時も買う時も楽しいですからね。実機は高すぎるからもはやスルー。今音楽を始めたい若い子たちはマジで大変じゃないかな。
なんとかしてくれこの世界。