チューブアンプ、真空管を変えただけで音変わるの?
変わるんです!(マジで)
フェンダーがマーシャルになったりとかそういう事はありませんが、質感はメチャクチャ変化しますよ。ダメ認定していたペダルがハマるようになったり、その逆もあり得ます。
・ハイが少し耳につくんだよなぁ
・音像をもっとハッキリさせたいゾ
・歪みをもうちょい抑えたいよ~
・全域が出過ぎてなんかウルサイ!
こういった微妙な不満点を何とかしたい方は試してみる価値は多いにあります。ですが、正直オススメしづらい(-_-;)。何故なら果てしなきイバラの道だから。沼です、ハイ。
回路など一切分からない私が自分の耳を頼りにアレコレとっかえひっかえして感じたことや、試してみた各真空管毎の簡単なレビューなどを今回はお届け。
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Contents
真空管交換の記録
Bogner Atma 18 編
今回被検体として活躍してくれた「Bogner Atma」です。中古で購入したので、入手前からパワー管含め真空管は全替えする予定でした。
このアンプはやはり歪みが一番。濃厚で粘りもあり大好きな質感ですが、ゲインを上げていくと低域の音像がぼやけていきます。クリーンは真空管の良さがあんま感じられず、多彩な音が出ますよ、ってだけの器用貧乏な印象。
よって目的を一本化、歪みチャンネルをより良くする事のみを目指しました。とにかく低域をタイトにしたかった。
初期真空管
- プリ管V1・・・JJ ECC83S
- プリ管V2・・・JJ ECC83S
- プリ管V3・・・JJ ECC83S
- 整流管・・・JJ EZ81
- パワー管・・・JJ EL84×2
前オーナーさんはおそらく弄ってないと思いますが、公式通りオールJJ管が搭載されていました。自身初の整流管搭載アンプで、電源オフ時に盛大なポップノイズがありました。過去形なのは既に解決したから。
スピーカーとの間にアッテネーターを挟む事でポップノイズが出なくなりますし、整流管を交換しただけでも無くなりました。何故かは知らんよ、モチロン(笑)。
パワー管・整流管交換
まず手を付けたリプレイスがコレ。所有アンプが全てJJ製なので違うものを試したかった。ちなみにAtmaはカソードバイアスなので難しい調整は不要。
整流管はエレハモの6CA4に、パワー管はTung-Solにチェンジ。何よりもポップノイズが無くなった事が嬉しい誤算でした。音の方はJJ管よりもクリアになったかな?くらいな印象(交換当初)。
古いものが新しくなった効果かも知れませんし、エージングやら音量やら色々込み込みあるので厳密な変化は不明でした。ただプリ管との組み合わせや使い込んでいく事による確実な変化を後々感じることになります。
プリ管交換
これが今回の本題。Atmaはプリ管が3本ありますが、どれがどう使われてるのかなんて分かりません(笑)。最も手軽なのが初段のみ入れ替える方法で、YouTubeの動画も大多数がV1比較です。
実際にはV1~V3どこの真空管を交換しても音に変化は生じます。試行錯誤するほど、どのポジションがどう作用し何に影響するのか分かってきますし、管毎の特性なんかも掴めて来ます。
★お気に入りその①
- V1・・・Mullard CV4004
- V2・・・JJ ECC83S
- V3・・・JJ 5751
ちょっと高価なMullardのCV4004を初段、JJ 5751をV3にセット。ブライトで粒立ちが良く、シャキッとした歪みになり全く違うサウンドカラーになります。
ただ非常に軽快な音でベクトルが違うので、Atma特有の濃密な音を活かしたリプレイスメントも模索してみました。
★お気に入りその②
- V1・・・Svetlana 12AX7
- V2・・・JJ ECC83S
- V3・・・JJ ECC83S
辿り着いたのが何ともシンプルな結論に(笑)。パワー管交換前にも試していた初段入れ替えだったのですが、その時とは明らかに違う印象を受けました。
まず3本全てSvetlana管に交換。サスティーンが明らかに増し、Peavey6505顔負けのブラウンサウンドに。それも全然アリですが、当初の狙い通りの方向へ進むべく引き算する思考で調整していきました。
結果V2、V3はJJ ECC83Sが最も自然でグッド。V1もそこから色々試しましたがSvetlana管が最高でした。ローミッド辺りに特徴がありますが、ローエンドがボワつく事はありません。これはパワー管のTung-Solとの相乗効果もあるでしょうね。
パワー管交換による恩恵がことのほか大きかった事が分かると共に、EL84はJJよりTung-Solが個人的に好きだと分かりました(≧▽≦)
Victory Amps Sheriff22 編
所謂プレキシサウンドを模したアンプ。プレキシとは実際あまり歪まないアンプだという事を入手後に知る(笑)。ただVolume1の自然なクリーン、軽いクランチは完全好みですが絶品で最高!
欠点は、全域が元気過ぎる。低域はガッツリ、中域はモッコリ、高域は暴れてウルサイ。インプットゲインやマスターを上げていく程全てが強調されてしまいます。
特に荒い高域が両チャンネルで扱いづらいので、そこを大人しくさせるのが第一目標です。
初期真空管
- プリ管V1・・・JJ ECC83S
- プリ管V2・・・PM ECC83
- プリ管V3・・・PM ECC83
- プリ管V4・・・PM ECC83
- パワー管・・・JJ EL84×2
プリ管が4本もあって中々手強そう。イギリスのPM Componentsという会社の管が3本使われています。通常製造は中国らしいのですが、Made in Chinaの記載がこの管にはありません。
そして弄り倒してみると、このPM管が「諸悪の根源」という事が後に分かるのでありました(笑)。
プリ管交換
Atmaであれやこれやした事により、手持ちのプリ管の特徴は大体掴めました。Sheriffはプリ管が多いので、どのポジションがどう影響するのかをまず把握する事から始めました。
結果、V1、V2はVolume1に大きく影響し、V3、V4がVolume2に大きく影響するという感じを受けました。厳密にはそんな単純ではないでしょうが、大雑把で全然OK。
まずPM管、上も下も出過ぎでウルサイ(笑)。これは間違いない。もう即一掃することに決定。2チャンネルありますがVolume2は捨てるという思考で行きます!二兎を追うものってヤツです。
★お気に入り
- V1・・・JJ 5751
- V2・・・JJ ECC83S
- V3・・・Svetlana 12AX7
- V4・・・JJ ECC83S
Volume1のためだけに構成したセットアップ。V1/V2はよりクリーンを重視し出音もイメージ通り。難しかったのが後段の2本。特にV3がVolume1の音色にかなり影響を与えます。サウンドカラーがここで決まる印象です。
V3にも5751を入れてみたのですがシャリシャリ感だけが目立ち却下。Tung-SolもPM程ではないにせよハイとローが強調され過ぎな感があります。TADの12AX7A-CをV4に入れ組み合わせるとまとまりが出て中々良いんですが、レンジが少し狭くなっちゃうんですよね。
そこでまたまたSvetlana。ハイが丸めで重心が低めの管だと感じているのですが、JJ 5751のクリアな出音に絶妙な暗さを加えてくれる印象です。ちょっと表現が難しいですがそんな感じ。
Volume1のクリーン、クランチ、ペダルノリがかなりブラッシュアップされたと感じるので個人的満足度は高いです。ただVolume2は・・・いまいち(笑)。
まぁ、歪みはAtmaに任せましょう。ライブプレイヤーではないのでこういった割り切りが可能なんですけどね。
真空管(12AX7)レビュー
ここから現時点で試してみた真空管の個人的感想を述べていきます。当たり前ですが使用アンプにより結果は大きく異る事もあり得ますので、あくまで参考程度とお考え下さい。
あと注意点として、同じブランド名の同じ管でも個体差が存在します。特にゲインは結構バラつきがありますね。そこが面白い所でもあるんですが、腑に落ちない所でもあります(笑)。
JJ ECC83S
現在最も普及しているプリ管ではないでしょうか。
最初に抱いた印象は、サウンドカラーは暗めで所謂ブラウンな音。ですがこれは寧ろJJのEL84管の方に当てはまる表現かもしれません。
このECC83Sは意外とゲインが低く、下から上までバランスよく出力してくれるナチュラルな管だと思います。私の中でも気付けばコレが基準管となってます。
JJ 5751
同じJJのECC83Sに比べ明確にゲインが下がります。どのポジションに入れても音像がクリアになる印象ですが、個人的には初段か、他の管との組み合わせで最終段に入れるのがイイ感じ。
ブライトでローノイズなので、クリーンを多用するプレイヤーには良いチョイスだと思います。これ結構好きです。
Mullard CV4004
JJ ECC83Sと比べると、ゲインは少し高めかな。この管は初段に入れると良い結果になりやすかった。音の粒がハッキリ見え、全体的に前に出るように感じられます。
特徴的なのは低域で、ぼやけることはありませんがかなり図太い印象を受けました。中々面白い管です。少し値段が張りますが、ストックしていきたい管。
Svetlana 12AX7
“スヴェトラーナ”のプリ管。これこそ何となく手に入れてみた管(笑)、なんですが今ではお気に入り。JJ ECC83Sと比べると、ゲインは高めでローミッド辺りに芯が出ます。
腰が据わったドッシリとした音で、サスティーンも増加するように思えます。現在Atmaの初段に入れている大好きなプリ管。ブラウンサウンドを目指すならコレ!
TAD 12AX7A-C
はじめての中国管。TADの選別管ですね。英語で「best V2 12ax7」みたいな感じで検索して辿り着いた真空管。非常に癖の強い管で、なるほど初段には向かない管。
コンプ感が強く暗めで奥まって聞こえます。ただ音が暴れているような時には「まとめ役」としてV2以降で活躍できる管だと思います。実際Sheriffにて良い感じに音を絞めてくれる効果を得られました。
Tung-Sol 12AX7
リプレイスメントチューブとして人気のプリ管。情報が多くあるのでどのような出音なのか確認する事は容易ですが、正直それもあまり意味がないということが分かりました(笑)。真空管こそ自分のアンプに搭載してみないと分かりません。
JJ ECC83Sと比べて明らかにゲインは増しますしペダルによる歪みノリも向上します。耳に痛くない高域と程よい低域を持ち非常に高バランスな管ですが、個人的には中音域にクセというか違和感を感じました。感覚的な部分ですが、この質感があまり好みではありません。
12AX7の比較チャートが下記のサイトで確認できます。個人的な感覚と非常に近いサウンド傾向を表していると思いますし、悩める方は是非参考にしてみて下さい。
▼AmplifiedParts
https://www.amplifiedparts.com/tech-corner/12ax7-comparison-current-made-tubes
まとめ
今回は真空管交換のお話でした。
感電やら故障の原因になったりすることもあり得ますので、ご自身で真空管交換される場合はしっかり学び、自己責任の下、慎重に行うようにして下さい。
とは一応記載しておきます。
ただ結構簡単で何より楽しいです。プリ管の交換でアンプサウンドは確実に変わります。導入部でフェンダーがマーシャルにはならないみたいに書きましたが、かなり劇的な変化を起こすことも可能です。
弾いてる本人にしか分からないこれまた自己満足な世界ですが、ハマると大変なんでほどほどにしときましょう。真空管アンプはやっぱ面白いよ!持ってるのは小型だけどね^^
※執筆時点での感想ですので、時と共にまた求めるものが変化し、今後色々弄くり倒す可能性が高いということを追記しておきますm(__)m