おすすめギタリスト第二回。前回の高崎晃に続きまして、今回は山本恭司を特集。私の大好きなギタリストです。ハードロック界の大、大、大先輩の御方。
80年代、ジャパメタブームの中、数多くのバンドが生まれ、多くのギタリストが世に出てきました。それよりも前、76年にデビューしております。
山本恭司が、どれほどのギタリストに衝撃と影響を与えたのかは、考えるまでもありません。
ですが、現在は目立った活動もあまりしておられない様子ですので、知らない方も多くいるのではないでしょうか?
そんなの嫌なので(笑)、今回ガッツリ紹介させていただきます!
※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
Contents
山本恭司 Kyoji Yamamoto
プロフィール
■パーソナルデータ
・本名 : 山本恭司
・生年月日 : 1956年3月23日
・出身地 : 島根県
■略歴
・1976年 BOW WOWでデビュー
・1984年 VOW WOW結成、活動開始
・1990年 VOW WOW解散
・1990年 WILD FLAG結成
・1995年 新生BOW WOW結成
・1998年 オリジナルメンバーでBOWWOW再結成
以降、作曲や編曲、プロデューサーやギタリスト、講師など多岐に渡り活動中。
2017年現在、なんと61歳。見た目若すぎっしょ!(笑)
泣きの恭司
山本恭司氏のプレイスタイルは、様々なテクニックを駆使したテクニカルギタリスト、とは一線を画します。非常に音楽的というか、洗練されたメロディがとても印象的。
ルックスはもじゃもじゃロングへアーに帽子がよく似合う。スラッシュスタイル(笑)。
優しさもにじみ出ていて、人を引き付ける魅力を感じます。
速弾きはもう当たり前のようにこなし、アームプレイも唸りを上げています。そして何より、弦の下に指を潜らせるスタイルで、5度チョーキングとも言われる独特で強烈なチョーキングプレイ。
特にバラードのソロなどで威力を発揮しています。当時、日本ハードロックギタリスト界の2大巨頭を「速弾きの高崎」「泣きの恭司」と評価されていたのをよく耳にしました。
もちろんお二人ともそれだけのギタリストではありません。ですが、山本恭司氏の「泣き」のプレイは、聴く者の感情に訴えかけてくる”凄み”を感じますし、最大の魅力ではないかと思います。
デビューバンド「BOW WOW」
1976年にデビュー。俗に言う「B」時代。私が山本恭司氏を知った時には、すでに活動していませんでしたし、CDを入手するのも至難の業でした。(昭和の人間だぜ^^)
インターネットなどもなく、自らの足で中古CDショップを渡り歩き、なんとかゲットできたのは3枚。デビューアルバムとライブアルバム、ベスト盤だけです。
現在リマスターされ再販されていますが、未だ入手しておりません。正直申しますと当時「B」はあんま好きではなかったんですね~(-_-;)。何故なら、やっぱ私ボーカリストだから。
ですが、ギターやバンドの音が分かるようになった今は、そのうち大人買いすることになるでしょう(笑)。
音楽性
BOW WOWでは山本恭司氏が自らボーカルもとってます。バンドとしては初期の音楽性はバラバラで、方向性がいまいち見えませんでした。
1stアルバムはロックンロールを基調としつつ、ハードなもの、アイドルグループサウンド、ポップ調、ブルージーなものと、なんだか混在しまくってる感があります。この時の恭司氏のプレイは、ジミヘンをどことなく感じさせてくれますね。
途中、ポップス期なる暗黒時代があったようです。確かにその時期の音源を聴いてみると、ギターサウンドはハードな”らしい”部分も垣間見れますが、概ね歌謡曲(笑)
おそらく、本人たちのやりたいことが出来る環境ではなかったのでしょう。ですが、後期になっていく程、本格的な路線へと変貌していきます。
これぞ唯一無二「VOW WOW」
1984年、ついに「VOW WOW」誕生!
- 人見元基 (Vocal)
- 山本恭司 (Guitar)
- 佐野賢二 (Bass)
- 新美俊宏 (Drums)
- 厚見玲衣 (Keyboard)
というメンバー。後にベーシストは、外国人プレイヤーにメンバーチェンジしていきます。
私が大好きな「V」の時代。残念ながら、活動期間が非常に短い。ハッキリ言って、万人受けするバンドでは決してないと思います。ですが大好き(笑)。
その理由は人見元基氏の存在。私がこれまでの人生で聴いてきたどのボーカリストよりも圧倒的です。彼についても個人特集を組みたいと思ってます。
1stアルバムでは日本語の曲が多く入っていました。正直全然ハマってない(笑)。人見氏はやっぱ英語だな、と今聴いてもそう思います。2ndからは完全英語です。
VOW WOWは世界進出を目指したバンド。米国進出が敵わず、結果的には解散に至りましたが、活動拠点としていたイギリスでは一定の評価は得ていたようです。
でも、ホントずっと聴いていたかったバンドのひとつです。アンセムやアースシェイカーみたいに再結成して欲しいですけど、VOW WOWを見ることはもう出来ないでしょう。
このアルバム、この曲を聴くべし!
それでは、気を取り直しおすすめの楽曲紹介をしていきたいと思います。先にも述べてますが、「B」時代は知っている楽曲の中から厳選してみます。
ポップ路線時代のものは、私たぶん聴くことはないと思います。後期の作品は入手次第、追記していきたいと考えてますので、よろしくどうぞ~。
BOW WOW (1976-1983)
吼えろ!BOW WOW (1976)
●「Heart’s On Fire」
●「James In My Casket」
デビューアルバムです。おすすめはこの2曲。「Heart’s On Fire」は代表曲ですね。
この楽曲は「ギタリスト山本恭司」の色がしっかりと出ています。進行やソロに、その後の彼のプレイの原点となるサウンドが散りばめられています。
「James In My Casket」は9:48の長さ。歌もありますが、必聴はギタープレイ。ゆったりとしたリズムの中でエモーショナルに歌うこのギターこそ彼の真骨頂!ジミヘンしてます。
Signal Fire (1977)
●「Signal Fire」
こちらはインストナンバー。何気に、ベースとドラムの上手さもわかる曲です。そしてこの1977年は、高崎晃氏がレイジーとしてデビューした年。
両名とも、本来のやりたい音楽はできなかったこの時代。下積みとは言えないですね。才能、個性を殺し、抑えつけ、アーティストの色を自分たちで決める、音楽業界の闇と言わざるをえない。
そんな中、自分たちの存在をアピールするかの如きこの「Signal Fire」。爽快です!
ASIAN VOLCANO (1982)
●「Don’t Cry Baby」
これ、歌もすきですね(笑)。日本語で歌われてるんですが、何かクセになっちゃいます。ギターソロではガットギターでしょうか?スパニッシュなフレージングを聴けます。
WARNING FROM STURDUST (1982)
●「You’re Mine」
●「Heels Of The Wind」
BOW WOWの中で最もハードロックな曲「You’re Mine」。超カッコいい!これはバンドでコピーしたかったんですけど、スコアがなく断念。ギタリストも耳コピ面倒くさいと( ;∀;)
印象的なリフ、重厚なリズム、強烈なフランジャーソロ、歌メロもロックしてます!BOW WOWのおすすめを問われれば、1番に間違いなくこの「You’re Mine」と答えます。
「Heels Of The Wind」はバラード調の良曲ですね。お手本のような静と動で構成されています。
ギターソロではピッキングハーモニクスやアーミング、チョーキングなど様々なテクニックをさらりと演奏しています。
VOW WOW (1984-1990)
愛してる「V」時代の、山本恭司おすすめ曲のコーナーでございます。できるだけボーカル目線を外す努力をしながら、頑張ってピックアップしていきます。
でわ、いってみよ~~~う!
Beat Of Metal Mortion (1984)
●「Too Late To Turn Back」
●「Mask Of Fresh (Masquerade)」
どちらも印象的なのは、厚見玲衣氏のキーボード。キーボードが入ると音色に厚みが増し、豊かになります。ただ聴きやすくなる反面、ハードさは少し抑えられる感じになります。
特にソロの部分での、厚見+恭司のコンビネーションはBOW WOWには無かった新しい音。当時は、ゴリゴリのヘヴィサウンドが好きだったので、初めて聴いた時は違和感ありまくりでしたね。
キーボーディストの存在感を、初めて感じさせてくれたのは、この厚見玲衣氏でした。
Cyclone (1985)
●「Hurricane」
●「Siren Song」
VOW WOWの中でも、アップテンポな曲をピックアップしてみました。意外なんですが、ラウドネスやアンセムのような速い曲ってあんま無いんですね。
Hurricaneもどちらかと言えばミディアムテンポですが、めちゃカッコいいです。ギターソロは攻撃的な速弾きで構成されてます。キーボードソロも速弾きですね(笑)。
Siren Songではお得意のアームプレイを堪能できます。テレキャスとギブソンしか持ってない私には、どうやって弾いてるのか全く分かりません。
Ⅲ (1986)
●「Shot In The Dark」
●「Shock Waves」
「Shot In The Dark」はVOW WOWで最もハードロックらしい曲。音の厚みが凄いですね。厚見玲衣氏の存在感はもちろん、パワフルなボーカルとドラムも素晴らしい。恭司氏も弾き倒しております!
そして「Shock Waves」。魂の楽曲。
こいつを初めて聴いた時は衝撃でしばらく固まってしまいました。特にライブ映像で見た方がいいです。YouTubeにもいくつかアップされています。
厚見玲衣氏の素晴らしいイントロフレーズ、ボーカリスト人見元基氏の怪物じみたパフォーマンス。断言できます。真の名曲とはこういうものだと。
恭司氏のプレイも映像で見ると、既成概念に捉われない、ギターを知り尽くした細かい奏法が盛り込まれていることがよく分かります。CD音源はそうでもないのですが、ライブプレイでの泣きまくるギターはマジ鳥肌ものです。
Ⅲには他にも数多くの良曲が入ってます。是非お試しを!
Ⅴ (1987)
●「Somewhere In The Night」
●「Don’t Leave Me Now」
こうやって改めて聴き返していくと、VOW WOWは非常にバランスの取れたバンドだということが分かります。それは誰が欠けてもこのサウンドは出せない、ということ。
特に、おすすめしているこの2曲もそうなんですが、キーボード厚見玲衣氏のプレイはなくてはならないもの。楽曲における役割が物凄く大きいんですね。
楽曲の印象を決定づけるイントロの数多くを、厚見玲衣氏のキーボードが彩っています。
「Don’t Leave Me Now」はVOW WOWの中でも聴きやすく、初めて聴く人におすすめです。
このアルバムが最もVOW WOWらしい音ではないかと、個人的には思います。
Vibe (1988)
●「Rock Me Now」
ポップな王道ロックといった感じの曲。おすすめしといて何ですが、個人的にはVOW WOWらしくない音だと(笑)。この曲はキャッチーで、歌いやすいライブ向けだと思います。
私が注目したのは、ギターソロ。非常に美しくまとめられております。特別速弾きなどはしていませんが、恭司氏のメロディセンスの高さを感じますね。
Mountain Top (1990)
VOW WOW最後の作品。個人的には名盤だと思っています。残念なのはミックス(私の所有しているのは初回発売品)。今までの作品と比べるとドラムがスカスカで迫力減。
楽曲はバラード、ミディアムテンポ、アップテンポとバランスよく収録されてます。最後にして非常に完成度の高い作品です。
「ここで終わりかよ!」とVOW WOWの終焉を本気で悲しんだ記憶があります。
もったいなすぎるでしょ。これほど強烈な個性を備えたバンドって日本じゃもう出てこないんじゃないでしょうか。
代表曲の「Tell Me」、最高のバラード「I’m Gonna Sing The Blues」、スケールの大きい「Mountain Top」、軽快なシャッフルナンバー「So Far,So Good」。
どれも秀逸で、今聴いても決して色褪せていない。最高!
1991年以降
VOW WOW解散後、恭司氏はWILD FLAGを結成。また3ピースバンドです。自らボーカルをとってます。歌うの好きなんでしょうかね。個人的には全く興味が沸かなかった。
人見元基氏の後ではもう並みのボーカル曲は聴けなくなってしまった(笑)
1枚アルバム持ってますが、棚の奥で眠り続けております。
1995年には、WILD FLAGにボーカルと2ndギターをプラスする形で新生BOW WOWを始動させます。1部では評価の低いこの新生、実は結構好きだったりします。
BOW WOW #1 (1995)
新生BOW WOWの1枚目のアルバム。先行発売されたシングル「Rock’em Dead」も収録。この曲を聴いた時に「ああ、恭司らしいメロディだな」と、素直に感じました。
日本語詞で全体的に聴きやすく、ハードロックンロール、といった感じ。VOW WOWのような本格的なものではなく、気楽な感じで聴けます。(よく分からんがそんな感じ^^)
個人的には、少しドラムが物足りないけど。
#2 LED BY THE SUN (1996)
新生2枚目のアルバム。そして終わりのアルバム(笑)。この作品ではドラムが新美俊宏氏に戻ってます。やっぱ全然違いますな、ウン。安定度が抜群に上がっとります。
それはインスト曲の「Dogbite」を聴いてもらえればよく分かるかと。
恭司氏のプレイでおすすめは「Got To Be A Man」。イントロもソロも美しいフレージングで見事なまとまり。この辺は相変わらずグッド。エンドソロもあり、ギターを堪能しまくれます。
BACK (1998)
オリジナルメンバーでの再結成BOW WOW。ベースの佐野さんは業界を引退しており不在。
このアルバムは往年の名曲をたくさん演奏しています。音は全体的に重くなっており、ちょっと違和感がある。
この再結成BOW WOWのCDも何枚か所有してますが、個人的に特に魅力を感じず。熱烈な「B」ファンの方には申し訳ないのですが、恭司さん、ボーカリスト誰か入れて。
ソロ作品
Guitar Man (1982)
●「Mars」
●「Sorrow」
●「Dog Fight」
多くのインスト曲が収録されています。山本恭司ベストといった感じ。
「Mars」「Sorrow」では「これぞ山本恭司」といった泣きじゃくるプレイを聴くことが出来ます。Dog Fightではアームプレイやボリューム奏法など、匠の技を披露(笑)。
MIND ARC (1998)
●「Ave Maria」
この曲は伝説の音楽TV番組「夢の乱入者」で初めて披露されたと思います。
有名で崇高なこの楽曲を、ギターで歌い上げる恭司氏の姿に感動してしまいました。それが収録されるとなると買わない訳にはいかない。
当時しばらく聴いてなかった恭司氏のプレイ。久々に購入したこのCDは完全「Ave Maria」目当て。聴くたびに心が癒されます。ヒーリング効果大!(笑)。
Time (2004)
ゴリゴリサウンドにより聴き疲れを起こしてしまった、そんなあなたに送る一服の清涼剤。そんなアルバム。
まさにこのアルバムまるごと「作品」と呼ぶにふさわしい出来。これこそアーティストの本業ではないでしょうか。
テクニックをひけらかす、そんな単純なものではありません。よく聴けば高度なテクニックが散りばめられていますが、楽曲に不必要なものはなく、1曲1曲丁寧に作られています。
タイトル通り、「時間」「時」というものに焦点を当てて、ギターで物語っています。静かな曲ばかりではなく、メリハリもしっかり有りますので、飽きにくい構成になっていますね。
それでも、やっぱりスローテンポの恭司氏のプレイが素晴らしすぎです。ギター、歌ってますよ。
個人レーベル作品っぽいので、手に入りにくくなっていくと思います。気になる方はお早めに。
THE LIFE ALBUM (2010)
こちらも基本的には前作の流れを汲む作品。こちらは「人生」をテーマにしています。人が生まれてから死ぬまでの物語を1曲ごとに表現しています。
「この曲はどんな場面かな?」などと想像して聴くと面白いですね。ただ、ギタープレイはかなりシンプルかな?前作「TIME」より、おとなし目な印象を受けます。表現力は流石ですがね。
終わりに
今回はギタリスト「山本恭司」をご紹介させて頂きました。
日本のハードロックギタリストのまさに先駆者と言える存在。
彼の最大の魅力は、やはりエモーショナルで表情豊かに音を歌い上げるプレイだと私は思います。
「泣き」と言えば、ゲイリー・ムーアですが、山本恭司氏も負けず劣らず、素晴らしい「泣きっぷり」を随所に聴かせてくれています。
私が希望する、実現してもらえたら最高なことは、恭司氏のギターをバックに、国内外問わず様々なボーカリストに歌ってもらうコンピレーション作品の発売!
・・・まぁ、ないでしょうけどね(´;ω;`)ウゥゥ
それにしても、エレキギターの音って、なんて魅力的なんでしょうか。ペケペケなのもジャキジャキなのもズンズンなのも、すべてが美味しいです。
今後もつたないレビューで恐縮ですが、色んなギタリストを紹介していけたらと思います。
それでは、今回もなが~~~~い、お付き合い、感謝です。See You Soon!