エレキギターのPC録音時のお話し。
最近サウンド比較をよくやるのですが、先日収録した時、前録ったモノとは明らかに印象の違う音になってしまった。使用する機材やソフトは何もかも同じ。
色々思考した挙句、唯一違っていたのがオーディオインターフェースのゲイン(音量)設定だという事に思い当たりました。前回録音時よりも少し上げていたんです。
これまでなんとなくテキトーに設定していた“音量”について、何回かに分け本格的に色々実験していこうかと思います。私が出来る範囲で、ね。
今回はソフトウェアアンプシミュレーター編でございます。
Contents
はじめに
注意点
まず最初に、私は小難しい話は致しません。否、出来ません!オーディオ界におけるボリューム回りの話は得てして難しくなりがちで、理解するのは結構大変。
インピーダンスがどうとか、専門的な解説は至るところに転がってますので、気になる方はご自身にてリサーチ下さいますようお願いします。
この難題、無知なりに己が耳を頼りに果敢に挑戦してみたいと思います(笑)。
違和感を覚えた経緯
記事の為に音源作ろうといつもの様に各機材をセットアップ。比較用なので実機、ソフト両方で録りやすくするためにルーパーにフレーズを収録。
オーディオインターフェース経由でルーパーのフレーズをDAWに取り込んでいくのですが、今回は実機の録音時、なんとなくですけど、
「クリップギリギリ狙ってみよう」という頭になったんです。
なのでオーディオインターフェースの入力ゲインを上げれるとこまでアップ。すると前録った音源と明らか違うサウンドに聞こえたんです。
ただの比較音源というのもあり、毎度耳感覚で録ってたんですが、波形自体いつもか細く一般的なセオリーに反してるのかも?なんていう考えも頭の中にあるにはありました。
音比較のまえに
音源はMP3。オーディオインターフェースのゲイン(音量)設定だけを変えてます。色々やってみたところ、たかが音量、では決してなかった(汗)。奥が深すぎ。
使用機材
ギター&ルーパー
今回の使用ギターはOrville by Gibson LPCで1988年寺田製。リアピックアップに57classic+を搭載。フレットがすり減っていてプレイアビリティは決して良くはない。
ルーパーはTCのDitto Looperを使っています。Looperのボリュームノブは12時に固定。それ以上上げても聴感上あまり変化が感じられませんでしたので。
オーディオインターフェース
- MOTU M2
- Focurite Scarlett Solo G1
オーディオインターフェースは2台持ってまして、超古い第一世代Focusriteと比較的新しいMotuの製品。FocusriteはPCのサウンドカード代わりに常時接続、簡単なDAW操作の時にも使用します。M2は録音用ですね。
ソフトウェア
- Studio One
- Nembrini Audio BG Extasy
- MeldaProduction MCabinet
- Nugen Audio ISL
- Goodhertz Loudness
使用するアンプシミュレーターはNembriniのEcstasyモデル。実機編ではSynergyの同モジュールを使うので合わせてみました。DAW内で大量使用するのでCPU的にも〇。
キャビシミュには今一番お気に入りのMCabinetを採用。全音源設定は統一してます。最後段にはクリップ防止用のリミッターを挿入。
Goodhertz Loudness
今回音源の音量を揃えるのに使用したプラグインがコレ。凄くおススメなので特別ご紹介。ターゲットとなる音量を決めたら右下の「Apply」ボタンを押すだけで自動で音量を調整してくれます。
ずっと耳を澄ましメーターを凝視して音量を揃えていたのですが、やっと求めていたモノを見つける事ができました。しかも何故か無料!普通にLoudnessメーターとしても使えるんじゃないでしょうか。他のプラグインも安く今後要注目ブランド確定。
▼Goodhertz Loudness
https://goodhertz.com/loudness/
セッティング
Nembrini BG Extasy
Ecstasyのフルシミュレートで、正直Synergy版よりも多彩な音が出せます。CH2を使用しアンプ部の各種設定は固定。グローバルコントロールであるアウトプット音量は-10dBに調整しています。
MeldaProduction MCabinet
MCabinetはこんな感じにセット。日本語表記満載のTatsuというキャビモデルを使用。Toneを明るくしただけでほぼデフォルト状態です。この簡単モードのままでも充分使えるのですが、Meldaの製品らしくより深みにハマる事も可能です。
Nembrini 音源
各音源タイトル部分にオーディオインターフェースのゲイン量を記載しています。数字はノブ位置を時計に見立てたクロック方式。下のFocusriteの画像だとゲイン量は“3”、Motuの画像では“12”という感じです。ゲインを絞り切った状態は“min”と表記します。
FocuriteにはLINE/INST切り替えスイッチがあります。今回どちらもチェック。ルーパーを接続するだけなので壊れはしないっしょ。でも…正しいのはどっちだ?(笑)。
Focusrite Scarlett Solo
感想その①
私ねぇ~、音源作りながらホント衝撃の連続だったの(笑)。オーディオインターフェースのGainノブって、ただの音量じゃなかったのか?…なんて無知全開。
音は出来るだけ「大きく、太く」録るのがセオリーとされてますが、正直入力音量がクリップしないようにするための音量調整ノブとしか思ってませんでした。ボーカリストが故にね。
ことアンプシミュレーターに関しては歪みのコントロールが可能という事実を私今初めて知る。まさしくインプットゲインなんですねぇ。
で、LINE/INSTの違いも明確で、INSTの方が音量上がります。Ditto Looperを接続する場合はLINE入力かと思っていたのですが(汗)、この辺りはインピーダンス絡みだと思うので各マニュアルチェックが必用ですね。
MOTU M2
感想その②
M2のGainノブは癖があり、10~12時辺りは少し動かしただけでも音量変化が激しく繊細な調整を強いられます。12時以降は一気に増幅してクリップするのでほぼ使わないです。
自分のイメージする音が出るのは11時くらいですかね。私の場合、波形的には上下に余裕があるくらいの音量で録れた時の方が良いと感じます。違和感あった時は多分12時とかに設定してたんでしょう。想定以上に歪んでる!みたいな。
Focuriteとの音質差はどうでしょうか。感じます?私的にはM2の方が密度も解像度も勝ってる様には聞こえます。とは言え、これくらいの微妙な差ならば、エントリークラスは何選んでも変わらないんじゃね?って感じもぶっちゃけしちゃいます(笑)。
※歌入れる場合は結構差が出ますからご注意を。
入力ブースト実験 ※おまけ
今回のアンプシミュレーター編、オーディオインターフェースの入力Gainへの理解が高まった今、無性に試したい事が出来たので今すぐ、やります。
最終的な音作りはアンプシミュレーターの役目。オーディオインターフェースのGainは確実にその前段にあるので、波形の大きさやアンプシミュの歪みに影響を与えます。
オーディオインターフェースのGainだけでわざわざクリップギリギリを攻めなくても、他のモノで入力ゲインを加算する事は可能なハズです。そうすればより自由度の高い事が出来る気がしてならない。
オーディオインターフェースのGain設定は当然大事で、0か100かではなく、丁度良いバランスにする必要はありますね。MOTUのGain10音源をベースに、いくつか思いついた方法で入力ゲインをアップしサウンドがどう変化するかチェックしてみたいと思います。
BG Extasy INPUT+12dB
+12dBその1。
BG Extasy自体のINPUTをマックスアップ。アンプ部の設定はノータッチです。12dBブーストを3種類、別々の方法でお試し。音自体に影響があるのか、気になりますね。
使用アイテムにより加味されるモノがあるならば、この方法は完全にアリだと言える。
UAD MEQ5 +12dB
+12dBその2。
音量増幅ならEQもありっしょ!って事でUADのMEQ5さんご登場。EQではアウトプットですが、アンプシミュにはインプット(笑)。EQ部は今回触ってませんが、触るの全然アリじゃね?
同じ12dBブースト。先程と音違いますか?どうでしょう~。
Studio One 波形 +12dB
+12dBその3。
そもそもStudio Oneの機能として波形のゲイン調整は出来るのですよ。上部の白四角をドラッグアップさせれば簡単に上げれます。これは正にオーディオインターフェースのGain代わりと言ってもいいんでないかい。
音の違いは…どうなんだ。低域の質感、違うよね?ん、プラシーボか?(笑)。
WaveArts TS-2 ブースト
何か最適なプラグインなかったかなぁ~、と探していると見つけましたよコレ。所謂サチュレーターなんですが、このプラグインの搭載機能はギタリスト目線だと完全に歪みペダル。
よってペダルイメージでブーストしてみました。結果アンプシミュレーターのブースターとして超優秀だと思います。非常にナチュラルなサウンドでEQ付き。面白い!
他にもきっと良いモノあるかもなぁ。コレは楽しい♪
終わりに
ソフトウェアアンプシミュレーター編はここまで。かなり長くなりましたが、書いてる方はノーストレスでメチャ集中して記事化出来ました。理解が深まると楽しくて。
オーディオインターフェースのプリアンプは極めてクリーンに設計されていますが、確実にアンプシミュレーターの前段に配置されるので、クリーンブースターの如き働きをする事も可能というのが非常に面白いですね。
今回の実験を経て、私のやり方もハッキリした感じです。アンプシミュレーターを使う場合は、波形に余裕を持たせて録音するでしょうね。どんなインプットゲインをいくつぶち込んでいくかは、そう!自由だ(笑)。
色々な組み合わせを試行錯誤するのがマジで楽しそう。既にちょっと隠れて試してみたんですが、PSPのVintage Warmerなんか当然の様に良かった。
でも、前段で音作りをする実機アンプの場合は全然違うアプローチになるんだろうなぁ。だってボーカルの歌入れでいちいち歪んじゃってたら元も子もないもんね。
第二回はその実機編。Synergy+Amped1で今回みたく色々実験したいと思います。実機はねぇ、ボリュームいっぱいあるんすよ。どれが何に影響を与えるのか、一つずつ試していくしかありません。
まずは実機の設定は固定して、オーディオインターフェースのインプットゲインのみを調整していく今回の様な形になると思います。
では次回、お楽しみに。